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お茶の実と太平洋戦争

 父の葬儀をした葬祭場から火葬場にかけては丘陵の裾で茶畑が多い。大阪から駆けつけてくれた父の従兄弟が、「このへんまで茶の実拾いに来よったなぁ」と懐かしげにポツリともらした。

お茶の実と太平洋戦争_f0030644_920397.jpg 父の従兄弟は先の戦争時、掛川にある母親の実家(つまり私の実家)に疎開していた。その時に軍の命令で茶の実集めをさせられたというのだ。チャノキはツバキの仲間で、冬に果実の外皮が割れて中に2〜3個入っている実がこぼれる。硬い殻に包まれた実には油分が多く、それを搾って燃料にしようとしたらしい。

 「今で言うバイオマスエネルギーやな」

 エンジニアだった父の従兄弟が言う。

 「そんなもん集めたかて、どないもならんと思うけどな」

 たしかに子どもらが歩いて集めた茶の実の量など知れたもので、実際に使われたかどうかもわからない。それでも子どもたちは日本の勝利を信じて茶畑を歩き回っていた。ちょうど70年前の今ごろの季節のこと。

# by greenerworld | 2014-12-19 09:25 | 花鳥風月  

あのE.ONが自然エネルギー企業になる!

 ドイツ最大のユーティリティ(電力をはじめとするエネルギー事業)であるE.ON(エー・オン)が分社化し、発電部門などの上流部門を切り離し、さらに自然エネルギー事業、送配電事業、エネルギー効率化サービス事業に集中するという。

 「これまでの幅広いビジネスモデルでは、変化するグローバルエネルギー市場、技術革新、顧客ニーズの多様化に向けた新しい挑戦に対応できなくなった」というのがその理由。逆にいえば、時代の変化に対応して変わらざるを得なくなったということだろう。

 E.ONが自然エネルギー企業になるというのは、日本でいったら東京電力が自然エネルギー企業になるのと同じくらいのインパクトのある話。自由化と自然エネルギー導入の進むEUだからということもできるが、いずれ日本のエネルギー市場もそのあとを追うことになる。電気事業法の庇護の下地域独占での殿様商売にあぐらをかいてきた日本の電力会社に、こうした自己革新ができるだろうか。適応力を失った巨大恐竜は滅びるのみだ。

出典:ガーディアン
"E.ON to quit gas and coal and focus on renewable energy"
http://www.theguardian.com/…/01/eon-splits-energy-renewables

# by greenerworld | 2014-12-02 08:44 | エネルギー  

泣ける十割手打ち蕎麦

泣ける十割手打ち蕎麦_f0030644_17115486.jpg

 所用で奥会津を訪れ、昼食に町家風の蕎麦屋に入った。蕎麦粉100%、ご亭主渾身の手打ち蕎麦を食わせるそうだ。

 まだ時間が早かったせいか、ほかに客はいない。20〜30分待っただろうか、たぶん注文をとってから打っているのだろうと思っていると、ようやくせいろにのった蕎麦がやってきた。さすが蕎麦粉100%の手打ちだけあって、期待にたがわず太さも長さもまちまち、ところどころ板状の切り損ねも混じる。当然茹で加減を揃えるのは難しかろう。細いのはとろけるようで、太いのはかたく噛みごたえがある。口の中で二種類のそばがハーモニーを奏でる。

 一本一本の長さは1〜8cmほどだろうか、つながっていないので箸で少しずつつまみ、何度かに分けてつけ汁へ。すするというより蕎麦ぢょこを傾けて箸で掻き込むようにして食べなければならないのも、この店ならではだろう。そのためか、つけ汁はあくまで薄味で、出しも控え目、蕎麦全体を浸して食べたいという蕎麦食いの夢を叶えてくれる。

 新蕎麦の時期であるが、あえて一年以上寝かせたそば粉を使っているようで、あのむせかえるような新蕎麦の香りが苦手な人でも大丈夫だ。大盛りを頼んだが、ちゃんとせいろが見える上品な盛り方である。海苔もたっぷりとふりかけられ、自家製の漬物もついて850円は良心的といえる。

 待つ時間も含めて一時間近くいたが、新しい客はなくゆっくりと蕎麦を堪能できた。他人には決して教えたくない、胸の内に密かにしまっておきたい名店である。

# by greenerworld | 2014-11-04 17:15 | スローフード  

第5回飯舘村放射能エコロジー研究会シンポジウム in 福島

今年も福島シンポジウムを開催します。皆さまのご参加をお待ちしています。

第5回飯舘村放射能エコロジー研究会シンポジウム in福島 2014秋

原発災害と生物・人・地域社会への影響と補償・生活再建の途を探る
共同世話人 今中哲二・糸長浩司・小澤祥司

日 時:2014 年 12 月 7 日(日)11:00 ~ 17:10
場 所:福島県青少年会館大研修室(収容人数 200 名程度)
   〒960-8153 福島県福島市黒岩字田部屋 53 番 5 号
参加者:一般市民、研究者参加費:無料
お申込:当日受付可、Web 事前登録歓迎
http://iitate-sora.net/

主 催:飯舘村放射能エコロジー研究会

共 催:NPO 法人エコロジー・アーキスケープ

協力団体(50 音順):飯舘村後方支援チーム、京都大学原子炉実験所原子力安全研究グループ、原子力資料情報室、原発事故被害者相双の会、国際環境 NGO FoE ジャパン、市民エネルギー研究所、 日本大学生物資源科学部糸長研究室、BIOCITY、ふぇみん婦人民主クラブ、 福島から祝島へ~こども保養プロジェクトの会、福島の子どもたちとともに・湘南の会、 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター家田研究室

お問い合わせ/ IISORA 福島シンポジウム事務局
tel:090-6601-6786 email : sympo@iitate-sora.net

プログラム
<開会あいさつ> 11:00 ー 11:05
<第 1 部>放射能の生物・生態影響
座長: 小澤祥司
11:10 ー 12:30
■汚染地域におけるヤマトシジミの異常率の推移 (2011-2013)•••• •••琉球大学 大瀧丈二
■放射線汚染地域のため池に棲むコイの健康状態•••••••••••••••••元東京大学 鈴木譲
■放射線被曝によるサルへの影響••••••••••••••••••••日本獣医生命科学大学 羽山伸一
■質疑応答

昼食休憩 12:30 ー 13:30

<第2部>放射能汚染の実態解明と除染
座長: 國學院大學 菅井益郎 13:30 ー 14 :20
■飯舘村農林地の汚染と飯舘・浪江・山木屋の住宅内の放射能汚染の実態(除染後の評価)
日本大学 糸長浩司
■飯舘村や浪江町赤宇木での放射能汚染調査の報告••••••••••••••••京都大学 今中哲二
■質疑応答

休憩 14:20 ー 14 :30

<第3部>補償と生活再建の道を考える
座長: 糸長浩司 14:30 ー 17 :10
■飯舘村民の避難生活と生活再建意向•••••••••••••••••••浦上健司(EAS)+ 糸長研究室

■補償と生活再建への思い ••••••••••••••••••••••••長谷川健一(飯舘村民) ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••杉下初男(飯舘村民) •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••市澤秀耕(飯舘村民) •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••國分富夫(原発事故被害者相双の会)
■原発事故におけるADRの意味と展望••••••••••••••••••••••••••( 保田行雄 弁護士)

■討論 16:30 ー 17 :10
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# by greenerworld | 2014-10-11 22:21 | イベント  

『れくいえむ』(郷静子著)

『れくいえむ』(郷静子著)_f0030644_1117574.jpg
 この作品を初めて読んだのはちょうど40年前の夏。作者の郷静子さんは、その前年に本作で芥川賞を受賞、夏休みに入る前に担任の国語教師から単行本を渡され、県のコンクールに出すから読んで感想文を書くように言われた。夏休みからは受験勉強のつもりだったから、気が進まずにいたが、読み始めると、そのまま一気に読んでしまった。

 太平洋戦争末期、横浜にある仏教系の私立高等女学校に通う節子は一途な軍国少女である。節子の兄は、東京理専を中退して海軍予備学生として、特攻隊に配属される。

 節子は学内で起こったふとした事件から、2歳年下のなおみと知り合う。なおみの父はアメリカへの留学経験もあるリベラルな大学教授で、論文を軍批判と咎められて獄につながれている。節子を慕うなおみは、自分自身も頑張って軍国少女になろうと決意するが、父親のことで謂われなきいじめや不当な扱いを受け続ける。

 節子の回想と、節子となおみの交換ノートによってストーリーは展開する。戦局はいよいよ緊迫し、節子ら高女3年生(14歳〜15歳)も、工場に動員される。

 最初から最後まで、おびただしい死が描かれる。淡々と。死は日常茶飯事なのであった。節子は戦争と病気という二つの死に取り憑かれる。空襲はいよいよ激しくなり、節子はなおみを失い、ひそかに慕う人を失い、家を焼かれ、父や母を失う。かつて日本軍が中国を空爆した場面をニュース映画で観て万歳を叫んだことを節子は思い出し、その下に多くの命と日常があったことに思い至るのだ。それでも節子は工場に通うことをやめない。不治の病であった結核に冒されながらも、ただただひたむきに日本の勝利を信じ、疑わなかった。そして敗戦の日を迎える。それとともに彼女の信じてきたものは全て跡かたもなく消え失せた。

 集団的自衛権についての憲法解釈見直しなど、現政権の「軍国化」路線が気になり、読み返してみたくなったのだが、単行本はおろか文庫も絶版で、古本を取り寄せるしかなかった。かなり傷んだページを繰り始めると、あの夏と同様、一気に読み終えた。あらためて、若い人に読んでほしいと思った。絶版なのは残念でならない。

# by greenerworld | 2014-08-15 11:23 | レビュー