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Trigger-happyな国々

 英語で「好戦的な」「けんかっ早い」という意味の単語にtrigger-happyがある。triggerは銃の引き金のこと。いかにもストレートな表現である(この言葉を聞くとつい、故赤塚富士夫さんの漫画に出てくる「目ン玉つながりのおまわりさん」を思い出してしまう)。

 この数か月の(特にこの一週間ほどの)北朝鮮の妄道ぶりを見ていると、trigger-happy以外の言葉が思いつかない。だだっ子のようで、まともな体制を持った国とはとても思えない。そもそも、覚醒剤や偽札づくりを国家事業でやっている疑惑のある国だから、やれることは何でもやるのだろう。自暴自棄かとも思ったが、案外周到に計算もしているようだ。今回も国連の制裁決議は、中国の抵抗で骨抜きになりそうだからだ。

 中国は同じ社会主義一党独裁のレジームを持つ国だからというだけでなく、経済的にも北朝鮮に深く関わっている。海外投資が細り、国内産業がほとんど壊滅状態の中で、中国は北朝鮮の地下資源に対する投資をほとんど一手に行っている。石炭・鉄・銅・銀、水力資源など中国の経済発展に欠かせないものばかりだ。渤海湾には海底油田やガス田もある。発展する中国北東部の沿岸地帯に資源やエネルギーを供給するには、輸送インフラが整わない内陸部から運ぶよりむしろ安上がりにちがいない。北朝鮮に対する経済制裁は、中国にもはね返ってくる。

 東アジアで生きていくということは、こうしたしたたかな国々と共存しなければならないと言うことだ。北朝鮮を念頭に「敵基地の攻撃は可能」と述べた麻生総理、万が一戦闘となれば、局地戦ではすまなくなる。言ったことの重みがわかっているのだろうか。軽はずみな発言は慎むべきだ。こちらまでtrigger-happyになってどうする。

# by greenerworld | 2009-05-28 11:55 | 森羅万象  

焦土作戦

 朝日新聞の夕刊に連載中のしりあがり寿さんの4コマ漫画(5月25日)、15兆円の補正予算を皮肉って、政権交代前の「焦土作戦」と。う〜ん、うまい。しかし、笑うに笑えない。焼き尽くされるのはわれわれ国民の生活だ。景気対策に名を借りた関連業界へのばらまき、ゾンビ天下り公益法人への火事場泥棒のような補助金復活。

 景気対策に名を借り、高速道路の1000円乗り放題や“エコポイント”の大安売りで、CO2を増やそうという愚策ばかり。昨年のガソリン税暫定税率廃止騒動の際、ガソリンが安くなるのは地球温暖化対策に逆行すると主張したのは当時の官房長官だ。2020年のCO2削減目標は90年比マイナス7%で結着しそうだという。美しい星だ、低炭素社会だ、グリーンニューディールだと騒いでいたのは一体何だったのか。「米百俵」の精神を訴えた元首相は地盤を息子に継がせ、親バカとしらを切る。こんなチャンスは二度とない数年後には逆さに降っても金が出なくなるとのたまう官僚……。政治家と官僚の劣化はあまりにひどい。

# by greenerworld | 2009-05-26 11:14 | 森羅万象  

2008年の日本の太陽電池設置出力、世界6位に後退

 ヨーロッパ太陽光発電産業協会(EPIA)の資料によると、2008年の世界の太陽光発電設置出力(最大値)は、5,559MW(メガワット=100万ワット)と、前年の2.392MWから2.3倍以上に伸びた。トップはなんと2,511MWを設置したスペイン。前年の5倍近くの伸びで、一国だけで世界市場の半分近くを占めた。2位がドイツで1,500MW、3位にアメリカが342MWで入った。4位にランクインしたのは韓国で274MW(前年の6.4倍)、5位イタリアも前年の6.1倍で、258MW。日本はそれに継ぐ6位で230MWだった。前年より伸びたものの、過去最高の290MW(2005年)にはまだ遠い。

 5年後の2013年ののマーケットは、十分な導入促進策が実行されれば、世界で22,325MWに達するとEPIAは予測する。2008年の4倍だ。

 スペインの2008年の伸びはフィードインタリフ(電力の固定価格買取制度、FIT)導入効果で大型太陽光発電プラントが次々建設されたことによるもの。あまりの急拡大に2009年度は上限を設けることになったため、2009年には急減しそうだ。ドイツもFITのレートを下げるので、今後成長率は緩やかになると見られるが、向こう2〜3年は世界のトップを維持するとEPIAでは見ている。

 2011年にはアメリカがドイツを抜き、国別でトップに躍り出るだろうとの予測。イタリア、フランスも今後市場が拡大するとの見立てだ。

 2013の市場予測を地域別に見ると、ドイツを中心にヨーロッパが世界市場の約半分を占め、10,925MW、アメリカが4,500MW、日本・韓国・中国の東アジア3国が4,700MW。中国が2013年には2,000MWに達し、日本の1,700MWを凌駕するだろうという。かつては世界市場の半分を占めた日本だが、わずか10年ほどで10分の1以下になり、市場としての存在感も薄まる。

 福田ビジョンに示された「太陽光発電世界一奪還」だが、EPIAの予測ではかなり難しいということになる。

# by greenerworld | 2009-05-25 09:50 | エネルギー  

エノキの葉っぱについていたもの

 道ばたのエノキの葉っぱに、実のようなものがついている。虫こぶ(ゴール、gall)のようだ。調べてみたら、タマバエの一種が寄生したものらしい。

エノキの葉っぱについていたもの_f0030644_16542681.jpg 虫こぶの名前としては「エノキハトガリタマフシ」となる。虫こぶの名前の付け方には決まりがあって、宿主(植物)名+(部位名)+形状+フシ。つまり、エノキの葉についたとがった玉状の虫こぶという意味。フシ(付子または五倍子)とは虫こぶのこと。

エノキの葉っぱについていたもの_f0030644_16544244.jpg いくつか取って帰り、中を見てみる。皮は意外と固く、中は空洞。小さな虫が入っている。これが寄生しているタマバエ(エノキトガリタマバエ)の幼虫だ。虫こぶは昆虫に寄生された植物の側が防御反応でつくったものだと考えられるが、寄生した方にとっては隠れ家と餌の両方が得られる。タマバエ、タマバチ、アブラムシなど多種多様な虫こぶをつくる昆虫がおり、ほぼ宿主とは1対1の関係になっているようだ。もっともアブラムシの中には、ライフステージによって宿主を替えるものもいるらしい。

 ほかにブログ子がこれまで観察した中には、エゴノネコアシフシ(エゴの猫足付子)、ナラメリンゴフシ(ナラ芽リンゴ付子)、クヌギエダイガフシ(クヌギ枝イガ付子)なんてのがある(スライド写真しかないので残念ながら紹介できません)。

 もともとフシというのはヌルデの虫こぶのことで、これから黒い染料を取った。昔女性が歯を染めるために使ったおはぐろだ。万年筆のブルーブラックインクも、元はオークやヌルデの虫こぶから取ったタンニンを使ったとか(オークに虫こぶをつくるハチをインクタマバチというんですね)。虫こぶには植物がいろいろな成分を蓄積させる。それが人間の薬になったり、染料になったりしたわけだ。

# by greenerworld | 2009-05-24 16:57 | 花鳥風月  

パシフィックエタノールが連邦倒産法適用申請

 自然エネルギーニュースサイトのCleanEdgeによると、ビル・ゲイツを始め投資家から華々しく資金を集めたバイオエタノールメーカのパシフィック・エタノールが、連邦倒産法代11条の適用(民事再生)を申請した。資産は5000万〜1億ドル(47億5000万〜95億円)なのに対して負債は最大5億ドル(475億円)にも上り、債権者数は最大999にも及ぶという。カリフォルニア州マデラに開設したエタノール工場始め、ほとんどの工場はすでに操業を停止しており、操業中はオレゴン州のボードマン工場だけ。

 アメリカでは459兆リットルのエタノール生産能力があるが、需要の低迷と倒産によりそのうち380兆リットル分しか生産されていないという。他にも多くのエタノールメーカーが倒産しているが、かつての“エタノール・ブーム”の象徴だったパシフィックエタノールの凋落は、バブルの終焉を意味している。

 エタノールブームもブッシュ政権とともに去り、後には莫大な負債(投資家には損失)が残った。ビル・ゲイツはどこかでうまく売り抜けたのだろうか?

# by greenerworld | 2009-05-21 23:59 | エネルギー